「コロナは風邪」派の主張を見て思ったこと
今回は、新型コロナ軽視の傾向にある方たちの意見の中に疑問を感じざるを得ないものがありましたので意見をまとめます。
①コロナは風邪の一種。
これを言っている方は、間違ったことは言っていないこともあります。しかし「だから大丈夫!」という言い方をしているのを見ると残念だと思わずにはいられません。
多くは風邪の認識が誤っていることが多い印象です。風邪の定義は「鼻やのどの急性炎症の総称」。
鼻やのどに炎症が起こることを風邪というので、これに原因菌やウイルスは関係がないのです。
例えばインフルエンザについても風邪と根本的に違うとは言い切れません。区別をつけて検査や治療方法が確立されるようになったのも2000年以降の話です。
これを基に新型コロナウイルスについて考えると、
原因となるウイルスが新型コロナウイルスに限定されているので、風邪とはそもそものくくりが違うことになります。
つまり「新型コロナは風邪の一種」というのは、
=新型コロナは怖くない という意味にはならないのです。
200種類以上ある風邪のうちすべてが、一般的なかぜの印象である「放置していれば治る、恐れる必要はないもの」に当てはまるとは言えないからです。
もっと言えば、風邪の種類は今後増える可能性がいくらでもあり、新しい種類の風邪が人体にとって危険ではない保証などどこにもない、ということです。
では風邪とひとくくりにするには危険性の高い新しいウイルスが出てきたらどうなると思いますか?
もうわかりますね。新型コロナウイルス、SARS、MARSのように新しい名前が付けられるのです。
この3つはすべてコロナウイルスの一種で、コロナウイルスは風邪の原因ウイルスのうちの一種です。
②風邪にはもともと治療薬はないので治療薬がないからと恐れる必要はない
まず、風邪に治療薬がない理由を説明します。
風邪の多くはウイルスが原因ですが、ウイルスは人間の細胞に寄生して増殖するので、人体に影響を与えずにウイルスにだけ作用する薬を作るのは難しい傾向にあります。そもそも風邪は200種類以上あると言われており、原因ウイルスを特定することは非常に難しいのです。そして今のところどんなウイルスにも効く薬はありません。
「風邪の治療薬はない」というのは、「すべてのウイルスに効く薬はない」という意味なのです。
ここでインフルエンザ治療薬のメカニズムを説明しましょう。
インフルエンザの治療薬の多くは、インフルエンザウイルスの増殖に必要な「ノイラミニダーゼ」という酵素の働きを阻害することによってウイルスを抑えます。
この酵素を抑えると増殖できないウイルスにはこの薬が効きますが、その他のウイルスはこの酵素がなくても増殖できるので意味がない、ということです。
新型コロナウイルスに関しても、増えることができない環境を作り出す仕組みを発見して、人体に影響がない形で薬にすることができれば治療薬を作るのは不可能ではありません。
色々な意見があるのは良いことですし当然のことです。しかし知らず知らずのうちに間違った情報を発信することがないように気を付けたいですね。